拙なる日々

コロナウイルス対策の一環としての暇つぶしです。

夏の空と露天風呂

せっかく「日本一のおんせん県」大分に住んでいるので、暑くても温泉に入る!

…というわけで、別府の山の麓の見晴らしの良い露天風呂に、ぶらりと行ってきました。

 

ほとんど貸し切りの状態で、のんびりとぬるめのお湯に浸かる。

聞こえるは、セミの鳴き声ばかりなり。けたたましい静寂。

見えるは、無数のトンボたち。せわしなく舞っている。

ああ、日本の夏だねぇ。

 

お風呂に入っていると、することがなく、ただトンボを見る。

同じ所を行ったり来たり、ときどき空中で立ち止まったり、また進んだり。彼らは一体何のために、何を目的として、こんなにいそがしく同じ所を飛び回っているのだろう。

ああ、人も同じか。

 

だんだん暑くなってきたので、お風呂から出て体を休めていたら、トンボも一匹、目の前の蛇口に止まって、羽を休めました。突然実現した、人とトンボの代表者会談。

しばらく無言で見つめ合う。トンボは目がたくさんありすぎて、視線が合わせづらいね。向こうはこっちを、どのように眺めているのだろう。

 

そのとき突然、尻をジリッと噛まれた!

「痛っ!蚊か!?」

つまみ上げると、小蟻がジタバタもがいていた。

思わぬ第三者の介入。

「この野郎!まだお前のエサにはならないぞ!」

 

尻をポリポリと掻きながら、またお風呂に入りなおす。

トンボもまた、群れのなかに帰っていく。

 

見上げると、元気いっぱいの夏の空。雲がいそがしく流れている。

相変わらずの、セミの声。

舞いつづける、トンボたち。

尻を噛まれた、人ひとり。

 

みんな訳も分からずに、一生懸命生きています。