ハム工場では、子豚をモノになるかどうか分からないうちに仕入れて飼育し、大物になって飼育代がかさんできたら、たとえ人気がある豚ちゃんでも情け容赦なくハムに加工して出荷し、大儲けをしています。最近アメリカに出荷したハムは、とりわけ美味で食べごたえもあり、アメリカ人も大喜び。現地では、大ブームになっています。
ハム工場の、この冷酷なまでのFA(太ったら、あっさり手放す)戦略については、それが厳しい経営環境の中で、工場が何とか生き残っていくためにはやむを得ないものであるとはいえ、ときに戦慄を覚えるものがあります。
ところが、今回はちょっと失敗しました。
大物にはなっていましたが、暴れ豚すぎてハムに加工ができず、日ごろ取引のあるセレブ宅に、豚のまま無償で提供するしかありませんでした。いつものように儲けることができず、残念です。
まあ、かさみつつあった飼育代が、いらなくなっただけでも良かったといえるのでしょうか。
ただこのセレブ宅では、何年か前に出荷したハムもまだ塩漬けにされたままで、食べずに残ったままなんですよね。
セレブ宅でちゃんとこれからハムに加工してくれるのか、いつの間にか腐らせてしまわないかが心配で、夜も眠れません。