拙なる日々

コロナウイルス対策の一環としての暇つぶしです。

四国ちょっとだけぶらぶら(2)

愛媛県の西側に大洲という町があります。小さな城下町で、瀟洒なお城がある。

 

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写真真ん中の天守閣は再建なのですが、非常に先見の明があるというか、きちんと木造で行なわれています。昨年まで私が住んでいた名古屋が、コンクリート製の現在の名古屋城を、今更ながらなるべく史実に近い木造再建でやり直そうということになり、計画にようやく目途を付けつつあることを思うと、大洲の方々の意識の高さに頭が下がります。

 

名古屋の方は、木造再建までは段取りがついたものの、その後はすったもんだ。

現在の名古屋城には、高齢者や足の不自由な方のためにエレベーターが設置されていますが、新しい木造名古屋城では、なるべく史実に近い状態にするために、このようなバリアフリー設備を最小限に留めると計画を発表したところ、地元の障害者団体が猛反発。未だ解決は出来ていないようです。

私自身は、せっかく木造で再建するのであれば、やはり史実に忠実に再建してほしい。団体の方の気持ちはとてもよく理解できるのですが、エレベーターが設置された名古屋城とか興ざめも甚だしい。何のための木造再建だろうかと思います。

確かに難しい問題ではありますが、現代の感覚をそのままこのような案件に持ち込むことは、歴史への冒とくになりかねない。例えばタイムマシンに乗った未来人が、自分たちの都合の良いように過去の時間をねじ曲げるといったことと等しいと言えるかもしれない。何とか良い解決方法がみつかることを願っています。

 

 

ちなみに大洲城の場合、内部も極めて忠実に再現しており、天守の上層部はハシゴのような階段で、お年寄りや子どもは立ちすくみ、見上げるしかありません。大洲の方々の、過去の時間に対する敬意のようなものを感じる作りになっています。

 

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天守閣からの大洲の眺望。

一画の肱川が天然の堀という、よくある縄張りですね。

 

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私がもし映画監督なら、こんな感じのところをロケ地にしたいと思うのだが、どうかね?

シナリオが勝手に浮かんできそうな、町がそういう雰囲気を持っています。実際、寅さんなど多くの映画のロケ地になっているようですね。積み重ねた時間と人のにおいを感じる所でした。

 

次に向かったのが、大洲から少し南に下った卯之町という所。

いかにも駘蕩とした気分にあふれる名前を持つ小さな町ですが、こんな小さなところにも歴史はしっかり刻まれています。

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現在も続いている旅館なのですが、犬養毅様やら浜口雄幸様やら、歴史上の人物が宿泊したお客様として「様」付けで刻まれていると、まだその辺を本人がウロチョロしているのではないかという気がしてきます。

この静かな町には、一時期逃亡中の高野長英が潜伏していたり、シーボルトの門弟となって、後にその娘イネを養育した二宮敬作が町医者として居を構えたり、小さいながらも表舞台の歴史と密接な関わりを持つ役割があったようです。髭ぼうぼうで変装したつもりになっている長英も、ウロチョロしてそうな気がしてきました。

 

ほらほら、その程度の変装じゃ誤魔化せないよ!

その後硝酸で顔を焼いて、人相を変えて逃げ回った長英ですが(本当みたいですね)、結局捕まって殺されてしまったのでした。うーむ、残念…。

 

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車をさらに南に飛ばして、最後は3回目の宇和島へ。(ビルのすきまの宇和島城。)

今回はじゃこ天食っただけで帰る羽目になりましたが、愛媛南部から、今度は高知をいずれ攻めたいと思っているので、次回も待ってろよ、じゃこ天!