拙なる日々

コロナウイルス対策の一環としての暇つぶしです。

四浦半島記

豊後国の四浦(ようら)半島は、まことに小さい。

この半島からみれば、北の国東半島などは、大陸のようにみえる。

 

・・・超有名な某紀行文でこんな始まりで書いてもらえたら、もっと脚光を浴びていたのかもしれません。地味な四浦半島に久しぶりに行きました。

 

 

 

四浦半島は、大分県津久見市佐伯市に属しています。

この半島には、割と最近らしいのですが、河津桜という早咲きの桜があちらこちらに植えられており、今の時期は梅と桜が同時に楽しめるのです。

 

 

河津桜は、もともと静岡にある桜らしく、何かの縁でここ四浦半島に植栽されたものらしいです。

きれいなピンク色で、とてもかわいらしい桜です。

メジロが大喜びで、蜜を吸いにやってきます。

 

 

個人的には、半島の中ほどにある落ノ浦という集落の神社から見える風景が好きです。

写真の左側には海が広がり、村にはピンクの花びらがあふれて、静かな波の音と小鳥のさえずりのみが聞こえてきます。

のんびりと穏やかな時間が流れ、桃源郷というものがあるのなら、こういう所なのかもしれないと思ってしまいます。

 

 

一応、一応ね。某有名紀行文が好きそうなものも、ちょっとはあります。

四浦合戦。

 

天正14年、薩摩の島津氏が豊後に攻め寄せた際、ここ四浦半島でも戦いが行われた。

攻め寄せる島津軍に対して、鳩の浦の鳩氏、久保泊の加島氏、深浦の加嶋氏、越智浦の紀氏といった四浦衆がこれを迎え、撃退した。

九州を手中に収める戦いをしていた島津氏にとっては、このような小浦など如何ほどのことでもなく、「撃退された」などという意識もなかったであろうが、むろん四浦衆にとってそうではなかった。

「島津なにするものぞ」

たかだかとした心持ちであったであろう。

 

・・・ちょっと「それ」っぽく。

 

半島の行きつく先には、ちょっと不思議な島があります。

保戸島といいます。

 

四浦半島は、ポツポツと小さな集落が散在するといった感じで、過疎化が進んでいる様子なのですが、半島を行き着いた先の離島である保戸島には、何やら高層建築物があったり、山肌にまで住居が張り付いているなど、相当の人口密度がありそうなのです。

まるで、ジブリの「紅の豚」に出てくる地中海の島のようです。

 

この島は遠洋漁業の基地で、小さな島ですが、小中学校ともあります。

写真の目の前に川のように流れているのが、狭い海峡で、本当に目と鼻の先で泳いで渡れそうですが、この目の前の島に上陸するためには、ここから10キロ以上離れた津久見港に戻り、そこからフェリーで30分くらいかけなければなりません。

橋でも掛ければ便利だろうにと思うのですが、漁業の島だから自家用船で事足りるのかな。

 

ここ2年ほどはコロナ流行で、桜をみたくても「半島に来るな」と言われていて、ようやく「解禁」となったので今年は久しぶりでした。

この春は、もう大分にいないかもと思っていたので、再びここに来れたことを嬉しく感じました。